【エピソード】ディル

ハーブのエピソード

【名称】ディル、ジラ(蒔蘿)
【学名】Anethum graveolens
【和名】イノンド
【別名】ディルウィード

北欧のパセリとも呼ばれる「ディル」は、
地中海沿岸地方、西アジア原産の、
セリ科イノンド属の一年草です。

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英名のディルは、
古代ノルウェー語の「Dilla(なだめる、和らげる)」 に由来しています。

ディルの種子のハーブティーにはに、鎮静作用があり、
胃腸の痛みを和らげたり、
赤ちゃんの夜泣きを防ぐ働きがあるというところからつきました。

現在でも、ヨーロッパでは、
赤ちゃんの人形の中に、ディルシード(ディルの種子)を詰めたり、
患者の安眠を促すために、
ディルシードティーを淹れるところもあるそうです。

和名のイノンドは、
スペイン語の「eneldo(イネルドとよむ)」がなまったものだそうで、
ジラ(蒔蘿)は、中国の生薬名「蒔蘿」の字を充てたといわれています。

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古代メソポタミア文明を誇った、現在のイラン、イラク地方から、
B.C.3,000年頃の粘土板が出土し、
当時のシュメール人が利用していたハーブ類が、
約200種、楔形文字で刻まれていたといいます。
 
ディル、アニス、コリアンダー、クミン、サフラン、ターメリック、
カルダモン、ゴマ、タイム、ケシの実 などなど・・・

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ディルに関する記述は、旧約聖書にもあるそうです。
B.C.740年ごろ、パレスチナ地方で栽培をしていたとか。

それから、古代ギリシャ、ローマへと栽培地が広がっていったそうです。

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不安定な時代だった中世ヨーロッパでは、
薬草学や植物学などは息を潜めましたが、
修道院の中の薬草園で、ハーブは守られてきました。

戦いで傷を負った兵士の傷口に、焼いたディルシードを貼った、
というような話も残っています。

また、呪術的なものも復活し、
魔女や魔術師たちが、
ディルなどのハーブを森で焚いていた、ともいわれています。

また、他の殺菌作用に優れたハーブと同じく、
冷蔵技術のない時代に、
肉類を保存したり、
毎日同じ肉を食べて飽きないようなバリエーションとして、
ディルのようなハーブは使われました。

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1596年(慶長元年)、
土佐浦戸にスペイン船サン・フ ェリペ号が漂着し、
和名イノンドがスペイン語に由来することから、
ディルの日本への渡来は、その頃ではないかといわれています。

日本での記録は、
現小石川植物園の前身である麻布御薬園(1638年創始)で
栽培されていたというものがあります。

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傘状に開く、黄色いディルの花の花言葉は・・
「知恵」

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